新型肺炎の影響により「雇用保険料引き上げか」ーわかりやすく解説!

NEWS

2022年以降雇用保険料が上がる可能性が高い

厚生労働省が「雇用保険料の引き上げを検討する」ことがわかりました。具体的な引き上げ率などは2021年秋にも議論されることとなっており、早ければ来年2022年の通常国会で具体的な改正案を提出する方針とされています。昨今の新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、「かなり高い確率で雇用保険が引き上げられる」ことが想定されます。

雇用保険とは?

雇用保険とは、失業者の支援などのための保険のことです。労働者の生活や求職活動を容易にするとともに、労働者の職業の安定をはかります。失業の防止、雇用状態の是正および雇用機会の増大、労働者の能力の開発および向上、労働者の福祉の増進を図ること目的としています。

雇用調整助成金の特例による財源不足

その雇用保険料引き上げの大きな要因となっているのが、新型コロナウィルスの感染拡大により特例措置が敷かれている「雇用調整助成金」の財源不足です。

雇用調整助成金は、事業主が労働者に対して休業手当等を支払う場合、その一部を助成する制度のことです。現在特例措置が敷かれており、助成率や上限額の引き上げ、手続きの簡素化が行われています。

対象以下の条件を満たす全ての業種の事業主
①新型肺炎の影響により経営環境が悪化、事業活動の縮小が継続
②直近1ヶ月間の売上または生産量などが前年同月比5%以上減少(特例措置あり)
③労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている
対象労働者申請する事業主に雇用された「雇用保険被保険者」に対する休業手当
助成額平均賃金額×休業手当等の支払率×助成率(ここでは割愛)
上限:1日1人あたり15,000円、または13,500円
申請場所事業所の所在地を管轄する都道府県労働局、またはハローワーク
オンラインでの申請も可能
申請期限支給対象の期間の最終日の翌日から2ヶ月以内
ポイント・学生バイトといった雇用保険被保険者以外に対する休業手当は「緊急雇用創出事業安定助成金」の対象となる
・緊急対応期間中の特例として「計画届」の提出が不要
・事業主が労働者を出向されることで雇用を維持した場合も支給対象

外部リンク:厚生労働省「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)」

現在の雇用調整助成金の特例の支払い額は「リーマンショックの6倍」

新型肺炎の影響による雇用調整助成金の支給決定額は20年3月~21年7月23日時点の累計で4兆円を突破しました。雇用調整助成金はリーマン・ショック後も特例はあったものの、09年度の支給は6534億円で、現在の支給水準はリーマンショックの約6倍に達しています。厚生労働省は元々、助成内容になるように、特例の規模を段階的に縮小させていくつもりでしたが、再度緊急事態宣言が出されているなか、実行に移すことができていません。

特例措置を続けることにもデメリットがある

また、雇用調整助成金の特例措置を続けるにもデメリットがあります。このような経済情勢でも規模が拡大していたり、ポストコロナで大きく成長した産業や企業への人材移動が難しくなります。一部の労働者の働く意欲をそぐことにもなりかねません。どこかで特例が縮小されるとは思いますが、その後が企業や労働者にとっても大きな壁となるでしょう。

タイトルとURLをコピーしました